最近癌友を見舞って感じること

 

私の闘病ブログは個人的なものだが、それでも間違った情報を発信しないよう用心している。私自身医師でありながら闘病を通し医師を信用することの難しさと怖さを知った。癌患者にとって最後の砦は自己免疫だと思っている。この最後の砦である自己免疫の状態に関心を持ち注意を払ってくれる医師は少数派に思えてならない。もうひとつ怖いと思うのは癌治療専門医と標榜しながら抗がん剤の副作用の本当の怖さを知っているのだろうか、知っていても他人事なのだろうかと不安になる医師もいる。あちこちの病院に癌友の見舞いに行く度にひどいと思うのは入院治療計画書の記載内容の簡単すぎることだ。家族同伴の席で記載不足を補う具体的な説明があったのならよいのだが、、本人に聞いても家族に聞いても抗がん剤の名前すら言えない人がいる。医師は忙しすぎるのだろうがそれにしても手抜きが目立つ。血液検査結果を見せてもらうが白血球分画(好中球、リンパ球、単球)の意味すら患者本人に説明されていないことがある。抗がん剤の副作用は骨髄抑制による貧血、白血球減少による易感染性、リンパ球減少による自己免疫の低下、血小板減少による出血傾向(鼻血、歯茎出血、皮膚紫斑)、そして肺炎、なかでも間質性肺炎は怖い。細菌性肺炎や間質性肺炎の早期発見と鑑別にはCRP、SP-A、SP-D、KL-6はとても大切な採血検査である。抗がん剤による肝障害や腎障害は見落とされることはまずあり得ない。リンパ球減少による自己免疫の低下と初期の間質性肺炎は見落とされやすく、この二つは闘病中頭から離してはいけない。入院中定期的に血液検査がある。この検査結果はきちんとファイルして保存すべきである。そしてリンパ球数は通常1000個以上あるのだが、恒常的に1000個を切るようであれば要注意。700前後で休薬を検討。500以下では抗がん剤を即中止しないと助からない場合がある。入院中ナースがやってきて指先で酸素濃度を測ってくれる。安静時94%以上あれば大丈夫だが93%以下は要注意、90%前後はもはや危ない。リンパ球数の計算は白血球数×リンパ球%=リンパ球数である。